エイズ感染者との性交渉はコンドームをすれば安心?
性病の中でも最も恐ろしくポピュラーなのがエイズです。このエイズと言う病気、皆さんはどこまでご存知でしょうか。正しくコンドームを使用すれば、エイズを完全に防ぐことは可能なのでしょうか?
今回はこのエイズのメカニズムや予防法についてご説明していきます。しっかりと知識をつけ予防しましょう。
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そもそもエイズやHIVとは?
そもそもエイズとはどのような病気なのでしょうか。病気のことをある程度知っていくことが大切です。まずはエイズとHIVという名称についてです。混同している方もみえるのでまずはここをしっかりおさえておきましょう。
エイズとは正式名称・後天性免疫不全症候群(Acquired ImmuneDeficiency Syndrome)と言い、この名称の頭文字を取ってAIDS=エイズという呼ばれています。
HIVはこの病気を発症するヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)のこちらも頭文字を取ってHIVと呼ばれるようになりました。一般的にはエイズの略称で知られています。
つまりエイズは病名、HIVはその病気を引き起こすウイルスとなりますので、混同しないよう気をつけてください。さて、ではこの病気はなぜここまで畏怖されているのでしょうか。
病名からも分かるように「後天性=生まれてから身体に起こる」「免疫不全=免疫の機能が低下あるいは停止する」症候群と言う症状を起こします。その臨床像は以下の3期に分かれます。
- 急性感染期
- 無症候期
- 発病期
1,急性感染期
初期症状としては以下のものが発症することがあります。
- 急性感染(Acute seroconversion)…伝染性単核球症様あるいはインフルエンザ様症状
- 無症候性感染
- 持続性全身性リンパ節腫脹
- その他の疾患合併症
伝染性単核球症とは倦怠感や38度以上の発熱、のどの痛みなど風邪の様な症状を起こす病気です。無症候性感染は、症状の出ないままの感染、持続性全身性リンパ節腫脹は全身のリンパ節が軟性の脹れを引き起こす病気となっています。
上記以外にも突然の全身性の斑状丘疹状の発疹や、ウイルスの量が急激に増加し重症化する例では多発性神経炎、無菌性髄膜炎、脳炎症状などの急性症状を示す場合もあります。
いずれも感染後2~4週間で起こるとされ、多くの場合は数日~10日程度で症状は軽くなるため、エイズそのものの感染に気づきにくいのが特徴です。
2.無症候期
多くの人は急性感染期を過ぎて症状が軽減し、だいたい5~10年は無症状で過ごします。この間、見た目は健康そのものに見えるため、エイズの感染に気づきません。
この期間に体内でHIVが盛んに増殖を繰り返す一方で、免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞という細胞がそれに見合うだけ作られ、ウイルスがCD4陽性T細胞に感染し破壊すると言うプロセスが繰り返されるため、見かけ上の血中ウイルス濃度が低く抑えられているという動的な平衡状態にあります。
つまり、HIVが増殖するのに合わせて、それを排除するために増えたCD4陽性T細胞がHIVに乗っ取られ破壊されるという現象が繰り返されています。その際、HIVは免疫細胞を破壊しているので、見かけでは数が減っているように見えてしまう、と言うことですね。
こうして無症候期を通じてCD4陽性T細胞の数は徐々に減少してしまいます。この期にある感染者は無症候性キャリアとも呼ばれます。
また自己免疫性疾患に似た症状を呈することが多いことも報告されていて、帯状疱疹症を繰り返し発症する場合も多いです。
3.発病期
血液中のCD4陽性T細胞がある程度まで減少していくと、身体的に免疫力低下症状を呈するようになります。
多くの場合、最初は全身倦怠感、体重の急激な減少、慢性的な下痢、極度の過労、帯状疱疹、過呼吸、めまい、発疹、口内炎、発熱、喉炎症、咳など風邪によく似た症状のエイズ関連症状を発症します。
また顔面から全身にかけての脂漏性皮膚炎などもこの時期から見られるようになります。大抵はこれらの症状によって医療機関を訪れ、検査結果からHIV感染が判明してきます。つまり、感染者が気づくときにはかなりの状態まで進行してしまっていることが多いと言うことです。
その後、免疫の低下に伴い、普通の人間生活ではかからないような多くの日和見感染を生じて、
- ニューモシスチス肺炎(旧カリニ肺炎)
- カボジ肉腫
- 悪性リンパ腫
- 皮膚癌などの悪性腫瘍
- サイトメガロウイルスによる身体の異常
このような生命に危険が及ぶ症状を呈する症例に感染します。またHIV感染細胞が中枢神経組織へ浸潤し、脳の神経細胞が冒されることでHIV脳症と呼ばれる精神障害や認知症、ひどい場合は記憶喪失を引き起こすこともあります。
専門的な内容もかなり入っていますが、要するに非常に発見しづらく、発症してしまえば死に至る病であると言うことです。
エイズの感染経路
HIVは通常の環境では非常に弱いウイルスで、一般的な社会生活をしている分には感染しません。これはエイズに感染している人と生活していたとしてもです。
一般に感染源となりうるだけのウイルスの濃度を持っている体液は血液・精液・膣分泌液・母乳が挙げられます。また感染しやすい部位としては腸粘膜、膣粘膜、口腔粘膜などの粘膜、切創、刺創などの血管に達するような深い傷などがあり、通常、傷のない皮膚から侵入することはありません。
そのため、感染経路は以下の3つに絞られます。
- 性的感染
- 血液感染
- 母子感染
この中でも最も感染しやすいのは性的感染と言われて現在の8割の感染者は性行為によるものだと言われています。しかしこれは自己で防衛することもできるので、注意次第で回避できます。詳しくは後述にて。
治療法
残念ながらHIVを完全に除去する方法はなく、エイズを感知させる方法は確立されていません。しかし、だからと言って絶望する必要はありません。
現在、抗HIV薬が様々なものが開発されています。基本的には多剤併用治療法という複数の治療薬を使って治療は行われます。ただし抗ウイルス薬治療は開始すれば一生継続する必要があります。
それでもHIV感染と診断されても、適切な治療を受ければ通常の寿命を全うすることが十分可能となっています。医療機関でエイズを宣告された方で、もしここを見てみえる方がみえたら諦めないでください。
医師からも説明があったかもしれませんが、一生の付き合いになるとは言え、エイズとしっかり向き合っていけば生きていくことも十分可能なのです。
エイズに対するコンドームの有効性
さてここまで難しい説明になってしまいましたが、おそらくここが一番のポイントとなるでしょう。
先述の通り、エイズひいてはHIVは血液や精液、膣分泌液を媒介として感染します。このような感染媒介にしたいしてコンドームの有効性はどれほどのものなのでしょうか。感染のメカニズムの観点から見ていきましょう。
性交渉におけるエイズ感染メカニズム
血液はともかくとして、精液・膣分泌液が体内に入り込む機会は性行為時以外にはありません。男性の場合は性交時の亀頭に出来る目にみえない細かい傷から膣分泌液が入って、女性の場合は精液が膣内の粘膜に直接接触し、血液中にHIVが侵入することでエイズに感染します。
また肛門性交では腸粘膜に精液が接触し、そこから感染されるとされています。腸の粘膜は一層であるため薄く、HIVが侵入しやすいため、膣性交よりも感染リスクが高いです。
またオーラルセックス時、口腔内に歯磨きなどで微小な傷が生じていることが多く、そこに精液や膣分泌液が接触することで血液中にウイルスが侵入する恐れがあります。このように性行為によるエイズに感染するメカニズムが生まれます。
この部分以外に精液あるいは膣分泌液が触れた場合の心配をされる方もみえるかもしれませんが、HIVは非常に弱いため、その他の部分に血管に達する傷がない限りは感染する可能性は非常に低いです。
なぜコンドームはエイズ予防で有効なのか
さてこれに対してコンドームはエイズ防止の有効な手段になりえるのか、と言うことに対しては、なんとなくお分かりの方もみえると思います。
要約すると、エイズは精液や膣分泌液が接触する経路を遮断してしまえば感染しません。そうなると性器同士の直接接触を避けるコンドームはエイズに対しての有効性は非常に高いといえます。正しい使用法に則ってコンドームを使用し性行為を行えば、感染しにくいことが分かります。
しっかりとお互いの直接的な接触を避けることでエイズの感染は防げる可能性が高いのです。
コンドーム使用時・未使用時のエイズ感染リスク
コンドームがエイズに対して有効なことは理解していただけたと思います。ではその有用性を理解してもらうために、ここでは感染リスクに目を向けていきます。
コンドームの使用時と未使用時でのエイズの感染確率は以下のようなデータが出ています。
行為 | コンドームの有無 | 確率 |
オーラルセックス | 有り | 0% |
無し | 0.1%以下 | |
膣性交 | 有り | 0% |
無し | 0.1~1% | |
肛門性交 | 有り | 0% |
無し | 1% |
コンドーム使用時の確率がどれも0%となっていますが、正しく使用した上で限りなく0に近いということを表しており、100%防げると言うことではありません。
こう見るとそれほど高くないような気がします。しかしこれはあくまで確率であり、リスクとしては1回でも感染する可能性があることを示しています。
コンドームの有無に対するエイズ感染の相対リスク
またこのようなデータもあります。コンドームの有無に対する相対リスクと言うものです。
コンドームの使用 | 感染する相対リスク |
有り | 1 |
無し | 20 |
相対リスクと言うとよく分からないと言う方もみえると思うので分かりやすく説明すると、コンドームを付けたときの感染リスクを1とした場合、付けなかった時のリスクは20倍にも跳ね上がる、と言うことを表しています。
それだけコンドームの防止効果は高いものだと見ていいでしょう。
コンドームを使用してエイズを予防するには
コンドームを使用してのエイズの基本的な予防としては、やはりコンドームを正しく使い、精液・膣分泌液・血液などが直接触れることを防ぐことが重要だと言えます。また装着するタイミングや装着期間が大切でしょう。
エイズを防ぐにはコンドームを正しくつける
まずは正しいコンドームの付け方から理解していきましょう。既に使っている人、これからコンドームを使う若者もここでしっかりと正しい付け方を知ってください。
- 男性器の包皮を根元までたぐり寄せます。そうすることでコンドームが外れにくくなります。コンドームの装着のタイミングは挿入の直前です。ピルを飲んでいてもコンドームを使用してください。
- コンドームを片側に寄せてから封を開けます。コンドームに傷をつけないため爪は切っておきましょう。また途中までしか開けないと袋の切れ端でコンドームを傷つけてしまうことがあるのでしっかり開けてください。
- コンドームの表裏を確認します。精液溜まりが、巻いているところの内側からでている方が表になります。製品によっては裏表が袋に記載してあることもあるので、まずはそちらを確認してください。
- 精液溜まりを指で押さえて空気を抜き、空気が入らないようにしながら、男性器の先端からコンドームを巻き下げていきます。陰毛を巻き込まないよう注意しながらおろしてください。
- 性器の根元までコンドームを下げたら、コンドームの根元を持ち包皮ごと先端方向に動かします。
- 一度上げたコンドームをもう一度巻き下ろすことで、コンドームと包皮が一緒に動くようにします。
精液溜めのない物もあります。その場合は4の前半の工程は飛ばしてもらって大丈夫です。
ただ言葉だけではイメージがしにくいと思うので動画も載せておきます。そちらも参考にしてください。
また慣れも必要なので、2~3回は性行為をする前に練習し、慣れておくといいでしょう。
エイズを防ぐにはコンドームは最初から最後まで
正しく付けられたらエイズは防げると言うわけではありません。射精直前だけ使用すると言った使い方をする人もみえますが、それは効果はありません。
必ず性行為を始めたところ、もっと言えば挿入する直前に装着し、射精直後まで付けておくことが大切です。また、オーラルセックスをする場合はその時から付けておいた方がいいでしょう。粘膜に触れる状態を避けるようにコンドームを使用してください。
エイズに感染したかをチェックする方法
上述の通り、素人ではエイズの感染の有無の判断は難しいです。まず正確なのは医療機関で診察・検査を受けることになります。例え疑いがなくても定期的に検査をすることで早期発見につなげることも出来、感染していなければ安心を得ることも出来ます。
それ以外の方法としては市販の検査キットを使う手もあります。
しかし、こちらは高価ですし正しい検査方法でやらなければ信憑性にかけてしまうため、やはりプロに任せるのが一番です。とは言え、受診前に自分でも調べたいと言う方もみえると思いますので、ご紹介もさせていただきます。是非参考にしてください。
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