まだ使える?歯ブラシの寿命と交換時期の目安
皆様は歯ブラシをいつお使いでしょうか?朝起きた時、食事の後、寝る前とタイミングは大体同じだと思いますが、日に最大でも3回程度でしょうか。それよりも多い方もみえるかもしれませんし、少ない方もみえるかもしれません。
程度はどうあれ、使い続けていれば物である以上どんどん痛んできます。歯ブラシの場合は毛先などが悪くなってきますが、皆様はいつ歯ブラシを交換しているでしょうか?この交換時期いかんによっては効果的に歯ブラシを行えないこともあります。
そこでこちらでへは歯ブラシの寿命の判断と交換時期の目安についてご紹介していきます。
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歯ブラシの交換時期の目安
ブラシの交換時期の目安とはどれくらいなのでしょうか。まずはその基準から考えていきましょう。
基本的に皆さんは何を基準として交換してみえるのでしょうか?多くの場合、毛先が開いて来たら交換という方が多いと思います。もちろんそれも正しく、毛先が開いた歯ブラシでは歯に毛先がフィットせず、磨いても汚れはほとんど落ちません。
しかし、そうなっている状態では既に遅いのです。もっと明確な基準がなければ、長期間効果のない歯磨きをすることにもなり兼ねません。
それでは毛先を見る以外に何を基準にすればいいのか、それは歯ブラシを使用する回数に答えがあります。歯ブラシの毛先は100回ほど使用するうちに耐久力を徐々に失い、その回数を越えるころには、効果的なブラッシングはできなくなっていると言われています。
もちろんこれは適切な力で歯磨きを使用した場合に限りますので、どのような状況でも、というわけではありません。それを前提にした基準だと、100回歯ブラシを使用するには日常的なブラッシングの回数が関わってきます。
歯ブラシの寿命は約1ヶ月
皆さんの日常的な歯磨きの回数は全員が同じとは一概に言えませんが、例えば朝昼晩の3回行っているとしましょう。1ヶ月が30日の月で考えた場合、その合計は90回の使用となります。
先述通り、歯ブラシの毛先が開き、効果がなくなる基準は100回だということを示しました。つまりここに達していては既に効果を失い始めているので、その前には交換をする必要が出てきます。
そう考えると、1カ月で90回使用したころには、交換時期であると考えるべきなのです。したがって日常的に3回歯磨きをする人にとって歯ブラシは1カ月前後が寿命ということになるのです。
歯ブラシは毛先が広がったら交換の目安
こちらも先述しましたが、毛先が広がったときには既に歯ブラシのブラッシング能力は失われています。それが1カ月程度ではないか、という疑問があるかもしれませんが、あくまで「適切な力で日常的に3回歯磨きをする人」に対する交換時期の目安が1カ月なだけです。
1カ月未満でも毛先が広がってしまっていたら、すぐさま交換をする必要があります。人によっては力いっぱい磨けば汚れが落ちると豪快に磨かれる方もみえます。そうなると毛先は歯にフィットするどころか押さえつけられる力で広がってしまい、癖付いて戻ることはなくなります。
こうなってしまっては弾力性も失われ、いくら丁寧に磨いたところで汚れを落とすことはほとんどでき無くなるのです。
ここまで一般的な手動の歯ブラシとしてご説明してきましたが、これは電動歯ブラシでも同じです。メーカーの推奨は3カ月ほどとなっていますが、これもそのまま鵜呑みにしてはいけません。
電動歯ブラシの場合、自分で磨くための力を加えないため、押さえる力によって毛先が開くことが考えにくいため、このような期間を設けているのでしょうが、実際使っているのは私たちユーザーなので、その判断は毛先を見て行う必要があります。
どちらにしても毛先が広がってしまったら、即時交換をすることをおすすめします。
歯ブラシをこまめに交換したほうが良い理由
ここまで歯ブラシの交換目安として、ブラッシング効果を維持するため毛先が広がる前、あるいは毛先が広がってしまった時に交換することを基準としてきました。
しかしこのようにこまめな交換を促すのは、何も効果的なブラッシングの問題だけではないのです。それは歯ブラシの使用目的を考えてこれば自ずと見えてきます。
歯ブラシは「歯の表面や歯間、奥歯などの汚れや歯垢、細菌をかき出す」ためのものです。細菌は製品によっては難しいものもありますが、少なくとも汚れや歯垢などは除去してくれます。
その歯ブラシは使用後、水洗いをすることになると思いますが、綺麗に洗ったところでどうしてもミクロな汚れは毛束の中に残ってしまいます。そうなると歯ブラシのヘッドの部分には細菌が増殖し、次回使うときにはそれを口の中に入れることになります。
交換してすぐのものこそヘッド部分には汚れや歯垢がそれほど残ってないでしょうから、その心配もあまりないですが、使い続けていれば汚れや歯垢が増え細菌は徐々に増えていきます。
清潔な歯ブラシを使うためにもこまめに歯ブラシを交換するのは大切だと言えるわけです。それ以外にも古い歯ブラシを使うことで歯や歯茎には様々なデメリットがあります。
虫歯や歯周病の原因は古くなった歯ブラシ?
先述通り毛先が広がった歯ブラシでは歯垢の除去は満足に行うことができません。同様に虫歯菌や歯周病菌などの細菌が作るバイオフィルムの除去もできない可能性があります。
そうなると落とすことが出来なかった歯垢やバイオフィルムが温床となり、虫歯や歯周病菌になりやすくなります。言うなれば、古くなった歯ブラシが虫歯や歯周病の間接的な原因ともなり兼ねないのです。
古くなった歯ブラシは歯や歯茎を傷める?
毛先が広がった歯ブラシは弾力性を失っています。そのような歯ブラシで歯や歯茎をブラッシングすれば、表面に毛先が当たったとき跳ね返ることなく、そのまま歯や歯茎を傷つけることにもなり得ます。
歯磨き後に出血する方や虫歯ではないのに冷たいものが歯に染みる方は、これが原因である可能性もあります。
もちろん強く磨きすぎると出血してしまうこともありますが、総じてその力が歯ブラシの毛先もダメにしてしまうわけですから、毛先と歯茎の両方ともダメにしてしまっていると言っても過言ではありません。
冷たいものが歯に染みるのも、歯の表面を覆うエナメル質を弾力のない歯ブラシの毛先が削っている可能性があります。これによって象牙質に触れ、歯の神経がその冷たさを過敏に感じてしまっているのかもしれません。
あくまで可能性であり、正確なことは歯科医院で診察を受けることをおすすめしますが、エナメル質を削りすぎると知覚過敏だけでなく、歯の白さも失われてしまうので、こまめに歯ブラシを交換して、歯や歯茎に優しい歯ブラシで丁寧に磨くことを推奨します。
古くなった歯ブラシは雑菌の温床?
こちらは先述した通り、古い歯ブラシは雑菌の温床となりかねません。特に虫歯の原因となる細菌のミュータンス菌は完全に死滅させるためには焼却以外なく、どれだけ殺菌して数を減らしても、完全にいなくなることはありません。
だからこそ丁寧に口内洗浄を行っていても、少し気を緩めれば虫歯になってしまうんですけどね。虫歯の詳しい内容についてはこちらのサイトの関連ページでご説明させていただくので、こちらでは割愛させていただきます。
ただ、口内の洗浄に使った歯ブラシの毛先にもこのミュータンス菌は付きます。もちろんその時使った歯磨き粉なども付いているので同時に殺菌はされるでしょう。しかしその後どれだけ丁寧に洗っても目に見えない汚れは毛先に残ってしまいます。
例えミクロな汚れであっても、日に日に溜まっていきます。そこがミュータンス菌の温床となり、歯ブラシの中で増え続けるのです。それを再度口に入れてしまえば、せっかく歯磨き粉で殺菌しても、歯ブラシの中で増えたミュータンス菌が移ってしまいます。
虫歯を例にとりましたが、他の細菌も同様です。薬品によって完全に殺菌することは現実的には不可能なのです。可能な限り有効数を減らし、細菌の活動を抑制することが予防となるのです。
歯ブラシの寿命を延ばす方法
歯ブラシの寿命や交換目安、交換しなかった場合の危険性などを知っていただけたと思いますが、そうなると当然寿命を延ばす方法はないのか、と思われる方も出てくることでしょう。
結論から言えば可能です。しかし長期の延命はできず気持ちばかりのものです。また歯ブラシは商品にもよりますが、非常に高価なものは稀であり、基本的にはこまめに交換することを前提に作られているためリーズナブルな物が多いです。
延命をするくらいなら、こまめに交換することをおすすめします。月数百円を節約することと、それによって虫歯や歯周病に罹り病院に通院しなければいけないリスクを天秤にかけてみてください。答えは自ずと見えてくると思います。
そうは言っても延命は可能といった以上、その方法はご説明していきたいと思います。
力加減に注意して使用する
歯磨きにおいて力加減は大切です。歯科医院などで歯磨きの仕方を習うと、その力の加減は「桃の皮を剥かない程度の力で軽く振動させる」と教わったのではないでしょうか。
初耳という方もみえるかもしれないので、是非とも意識してみてください。桃の皮は非常に柔いです。桃自体、表面が傷みやすい果物なのでその皮を剥かないとなると相当優しく磨く必要があります。
この力加減を常に守って磨くことができるのであれば、歯はもちろん、歯ブラシの毛先のダメージも少なくて済みます。そのため毛先が開きにくくなるということになります。
しっかり洗って乾燥させて保管する
基本的に歯ブラシを使用後は水洗いをするだけになっていると思います。そのため朝使用し、昼磨こうとしたときにはまだ毛先は湿っていることでしょう。半日以上経った夜だったとしても湿っていることがあります。
この状態は細菌が繁殖するには格好の環境です。また毛先に使われる素材の関係から、毛先を痛める原因にもなります。
使用した後はしっかり水洗いすることはもちろんのこと、しっかり水気をとって乾かしてください。また複数の歯ブラシを1つのコップに入れてしまうと、乾燥していない歯ブラシの水気をもらうどころか、細菌まで移してしまうので、触れ合わないように保管してください。
歯ブラシ用の除菌器を使用する
現在の価格はコチラ |
歯ブラシ用の除菌器というものがあります。これは歯ブラシのヘッドや毛束が細菌の温床になることから開発されたものであり、紫外線などを当てて除菌をするというものです。
しかしこの効果は気休め程度だと受け取っておいてください。勘違いしがちですが、「除菌」・「殺菌」・「滅菌」の違いを明確にしておくことです
除菌 | 物体や液体といった対象物や、限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めることをいう、とされています。例えば、洗剤・石けん公正取引協議会が定義する除菌とは、「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」で、この細菌にはカビや酵母などの真菌類は含まれません。 |
殺菌 | 文字通り「菌を殺す」ということを指しています。細菌を死滅させる、という意味ですが、この用語には、殺す対象や殺した程度を含んではいません。このため、その一部を殺しただけでも殺菌といえる、と解されており、厳密にはこの用語を使う場合は、有効性を保証したものではない、ともいえます。 |
滅菌 | 「滅」とは「全滅」の滅であり、滅菌といえば意味的には菌に対しては最も厳しい対応、ということになります。つまり、すべての菌(微生物やウイルスなど)を、死滅させ除去することで、日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になることをもって、滅菌と定義しています。 |
つまり除菌をしたからと言って、歯ブラシから細菌がいなくなったわけではないのです。あくまで清潔にしているという安心感が得られる程度のものと理解していただいても支障はないのではないでしょうか。
除菌率の落とし穴
製品によっては除菌率99.9%と謳っているものもあり、除菌率の高さを売りにしています。しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。
口内のにはおよそ4000~6000億個の口腔内細菌がおり、歯をほとんど磨かない人にいたっては1兆個の細菌が蔓延っていると言わています。
それに伴い、水洗いだけで乾燥させていない歯ブラシにはおよそ1億個以上の細菌が潜んでいるとイギリス・マンチェスター大学の調査から明らかになっています。
さて、先ほどの除菌率ですが99.9%でした。つまり0.1%は除菌できていないわけです。1億個の中の0.1%はどれだけなのか。
100,000,000 × 0.01 = 1,000,000
桁が大きすぎてもはやよく分からない計算になっている方もみえるかもしれませんが、1億個の0.1%は100万個となります。要するに99.9%除去したところで、100万個もの細菌が残っているわけです。
しかも根本的に乾燥させていないヘッドであれば、その100万個以上の細菌は再び増殖を始めます。除菌率が気休めにならないとはこういうことです。
もちろん口腔内細菌は悪玉だけでなく善玉のものもおり、この100万個にも含まれていることでしょう。しかし総じて善玉よりも悪玉の方が強く、この100万個の中の割合としては悪玉の方が多い可能性が高いです。そのため除菌したとしても口内に悪影響を及ぼす細菌が残っている確率の方が高くなってしまうのです。
実はこのようなパーセンテージで表記されている効果というのは、今のような落とし穴が数々あります。ついつい大きい数値を見て、効果が高いと思われがちですが、その母数によって意味合いが変わります。
これは数学における盲点でもあるので、〇〇%と言うのを数字のまま安易に受け取りすぎないように注意しましょう。
効果の捉え方
話がそれました。除菌器は、もちろん効果がないわけではありません。新たな細菌が歯ブラシの毛先につくのを防ぐという点では効果があります。しかし根本的な解決策として、細菌が増殖しにくい環境を作り上げることが大切です。
細菌が増えやすい環境のままでは毛先が痛み、汚れが蓄積しやすくなり、細菌が好む環境により近づくという悪循環に陥ります。それによって毛先の寿命はどんどん短くなっていきます。
除菌器を使うのもいいですが、あくまで清潔な状態を保つための1つのツールとして使い、過信せず歯ブラシを丁寧に清掃して保管してあげてください。そうすることで歯ブラシの寿命は伸びます。
熱湯と冷水で歯ブラシの毛先を復活させる
熱湯と冷水で歯ブラシの毛先を復活させるという方法もあります。まずは方法を簡単にご説明しましょう。
- 熱湯と冷水をそれぞれ準備する。冷水は水道水に氷を入れ氷水としたもの、熱湯は鍋で沸騰させた湯を用意する。
- 沸騰した湯にブラシ部分が下を向くように入れる。そのままUの字になるように何度も動かし歯ブラシのヘッドに側面から水圧がかかる様にする。目安としては30回ほど左右にUの字を描いて動かす。
- 目安の回数が終わったら氷水に歯ブラシを移し、同様に氷水の中でUの字になるように30回ほど動かす。
- 終わったらタオルやティッシュで歯ブラシのヘッド部分の水分を拭き取る。
この方法で開いていたり曲がったりした毛先が真っ直ぐに戻ると言われています。これは歯ブラシの毛束に使われている素材の多くが、熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)などを使用しているためです。
プラスチックの一種ですが熱可塑性の性質を持つため、加熱して軟化したものを冷却して硬化させることで成型しています。
つまり熱湯で一度毛先を軟化させ、形状を変化させやすい状態にし、冷却することで真っ直ぐになった状態で硬化させるという手順をとっているわけです。化学的には正しい方法で毛先を復活させているわけですね。
しかしこれは化学的な話であって、衛生的に正しい方法で復活させたわけではありません。根本的に毛先の細菌は残っていますし、溜まった汚れや歯垢が落ちたわけではないのです。
そのため1カ月以上使った歯ブラシにこの処置を施しても、不衛生であることに変わりはないのです。またこれでまた1カ月以上毛先が持つというわけでもありません。あくまで応急処置的な物です。
しかも熱可塑性樹脂を使っていない、例えば動物毛などを使ったものでは使えない方法であり、この性質を持った素材でも100%戻るわけではないので過度な期待は禁物となっています。