山切り?極細?歯ブラシの毛先の形状や素材の種類
歯ブラシを選ぶとき、何を基準として選んでみえるでしょうか。おそらく毛束の量や毛先の加工、毛先の硬さ、ヘッドの形状などいろいろ見ると思います。しかしどれだけの種類があるか皆さんはご存知ですか?
実は形状や素材など細かく分けると非常に多くの種類があります。選ぶ上ではやはりすべての種類の概要を簡単にでも知っておいた方が選択肢が広がります。そこでこちらでは歯ブラシの毛先の形状や素材の種類についてご紹介していきます。
スポンサーリンク
歯ブラシのヘッドの形状
まずは歯ブラシのヘッドの形状からご紹介していきます。歯ブラシ自体は「形状」・「素材」・「硬さ」によって分類することができます。その中でもヘッドの形状は最も最初に目に入りやすい違いになります。
形状は四角形のものや卵型、円形のものなどがありますが、植毛の幅が均一のものの方が毛先に加わる圧力が一定となり、歯の清掃効率も上がります。そのため四角形で角が丸いものが最もおすすめとなります。
ただあくまで一般的なおすすめであり、一言に形状と言ってもヘッドの大きさや薄さも関わってくるので、自分の口の大きさに合ったものを選ぶことを優先にしてください。
刷毛部の種類
刷毛(はけ)と読みますが、要するに歯ブラシの毛のことを指します。こちらは把柄部よりも多くの形状が存在します。以下には代表的な形状を紹介していきますが、全てのメーカーが全種類の刷毛の形状を提供しているわけではありません。
これらを組み合わせたものが各社から販売されているため、それぞれの特性を理解して歯ブラシを選ぶといいです。
ストレート型(直線型)の歯ブラシ
フラットな形状の直線型をした形状です。最も一般的な形状であり、全体を磨くのには適していますが、歯と歯の隙間や奥歯、あるいは凹凸などには磨き残しが出来てしまうことがあります。メインでは全体を磨く歯ブラシとして選ぶ分には良い形状になります。
タフト型(山切り型)の歯ブラシ
タフト型は、真ん中に向けて盛り上がっている山切り型となっています。この形状は歯と歯の間の歯磨きには有効で矯正用に良いですが、歯と歯茎の境目である歯周ポケットの磨きには不向きです。
コンケーブ型(凹型)の歯ブラシ
この形状は歯の凹凸に合わせて磨きやすいような形状となっています。歯の凸部分に合わせて刷毛がフィットするため1本1本丁寧に磨けます。ただ大きく磨いてしまうと磨き残しが出来てしまいます。
コンベックス型(凸型)の歯ブラシ
凹型同様、歯の凹凸に合わせて磨きやすい形状です。特にどんな角度でも歯と歯茎にフィットする形状となっています。凹型と同じように大きく磨くと磨き残しが出来てしまいます。上記のコンケープやコンベックスは補助用の歯ブラシをお探しの方におすすめです。
ローリング型(傾斜型)の歯ブラシ
こちらは毛先が傾斜にカットされており、奥歯の奥まで届く先端となっています。そのため奥歯を磨くのには適していますが、全体を磨くにはやや不向きな形状となります。こちらも補助的な使い方をする形状です。
ワンタフト型の歯ブラシ
ワンタフトは円形のヘッドに円状の毛束、そして先端は円すい型で毛先が集中しているのが特徴です。こちらも奥歯など届きにくい部分を磨くのに適しています。面が広くないため、1本1本の歯磨きにのみ使用でき、メインの歯ブラシには向いていません。
植毛の幅の種類
植毛の幅にも種類があり、1列から多列植毛まで様々です。植毛の列は多くなればなるほど接地面が広くなり、力が分散されやすくなりますが広い面を磨くことができます。しかし、細かい部分に届きにくいというデメリットがあります。
列が少なくなればなるほど、力が集中し細かい部分の汚れも落とせますが、歯や歯茎を傷つける可能性が高くなります。
そのため、列が多いものをメインとして全体を磨き、仕上げとしてサブで列が少ないものを使い細かい部分を磨くというのが理想的な歯磨きとなります。
密植型の歯ブラシ
密植型は5列以上のものを指します。刷毛が密集することから密植型と言われますが、毛束が多くなる分、ヘッド部分も必然的に大きくなります。先述通り、面が広くなるので全体を広く磨くことができます。
力も分散されるので、歯ブラシを持つ力が強くなってしまう方は密植型をメインにするといいでしょう。
多毛束植型の歯ブラシ
多毛束植型は4列のものを指します。一般的な歯ブラシでは比較的多く売られている列数になります。程よく広い面積に設置し、適度な力で汚れや歯垢を落とすことができる植毛になります。
疎毛束植型の歯ブラシ
疎毛束植型は1~3列の植毛になります。3列は4列同様、比較的多くの製品に採用されています。1列や2列になると細かい部分の歯磨きには向いていますが、力が入りすぎてしまうのが難です。
3~4列が最も一般的な植毛になっているのは、全体を磨く上で適しているため、採用されている製品が多くなっているのです。一般的な力で歯全体を磨く方はこの3~4列の植毛がおすすめです。
歯ブラシの毛先の種類
続いて毛先の種類になります。こちらは毛先の素材と共に、形状や硬さも関係していきます。ここからは以上の3点について毛先の種類をご紹介していきます。
毛先の素材の種類
毛先の素材は大きく分けると獣毛と化学繊維に分けられ、獣毛は「馬毛」と「豚毛」、化学繊維は「ナイロン」、「PBT(ポリブチレンテレフタレート)」、「シリコンゴム」が挙がります。それぞれの特性などを見ていきましょう。
馬毛の歯ブラシ
天然繊維である獣毛は歯と歯茎に非常に優しい素材となっています広がりにくく丈夫で長持ちである特徴もあります。
弾力のある良質の毛を使っていれば、歯のエナメル質や歯茎を傷めず優しく磨け、健康で丈夫な歯茎を作ることができます。
特に馬毛は豚毛よりも柔らかく、歯茎への感触が非常にソフトとなっています。この触感を知ってしまうと化学繊維には戻れないと言われるほどです。
歯垢除去能力も化学繊維と優劣をつけずらいほど高くなっています。ただ天然繊維であるため価格は高いのが玉に瑕です。
豚毛の歯ブラシ
馬毛に並ぶ感触の良さと歯垢除去能力を持った獣毛となります。少しだけ馬毛より硬いと感じる人もいるようで、歯茎への感触はやや劣りますが、毛の復元能力は豚毛の方が上になっています。
馬毛よりは価格は抑えられていますが、こちらも天然繊維である以上、価格が高いのは覚悟の上でお求めになる必要があります。
ナイロンの歯ブラシ
歯ブラシの毛先に最も多く使われているのがこちらのナイロンになります。成形しやすく材料の面からも大量生産が可能となっています。また素材の特性で、耐摩耗性が高いため、ブラシに向いている素材と言われています。
ただプラスチックの一種であることもあり、天然繊維より硬く、歯や歯茎への感触は馬毛や豚毛に劣ります。それでも感触が悪いわけではなく使っていて問題がないレベルです。また広がりやすいため、復元力はあまり高くありません。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)の歯ブラシ
ナイロンと同じプラスチックの一種ですが、ナイロンより耐久性がありおよそ4.2倍の強度があると言われています。また耐酸性・耐熱性にも優れた素材なので、酸性の口内でも問題なくブラッシングでき、毛先の劣化がナイロンよりも遅い素材となります。
また水はけもいいので、乾燥させやすく毛先での細菌の増殖を抑え清潔に保ちやすい素材でもあります。ナイロンに変わる新しい毛先の素材として注目されています。
シリコンゴムの歯ブラシ
シリコンゴムを使った歯ブラシで磨くと歯の表面の汚れを落とすと同時にエナメル質を磨いてくれるのでツルツルにすることが可能となり、歯のくすみを取り除く効果が期待できます。
主にホワイトニング向けの製品に採用されており、ナイロンなどの毛と組み合わせることで販売されています。
毛先の形状の種類
毛先の形状にも種類があります。歯間や歯周ポケットを磨きやすいように細くなっているものや、歯の表面の汚れや歯垢を根こそぎ落とせるよう面積をさらに広くするため先が球体になっているもの、あるいはそれらを組み合わせたものが売られています。
フラットカット
一般的な毛先のカットであり、歯の表面に満遍なく毛先を当てることができます。
ラウンドカット
毛先が丸いドーム状にカットされており、歯肉に当たる際、傷つけないようにやや丸めに加工されているのが特徴です。
テーパード
テーパードは毛先が円すい形で先端がやや丸みを帯びるようにカットされており、奥歯の噛む面の溝が深い方などがその部分を磨くには適しているといえるカットです。
先端極細加工
先端が非常に細く加工されており、歯間や歯周ポケットなどに届きやすくなっています。加工の問題でやわらかめになっています。
球状先端加工
先端にボールのような球状に加工されており、接地面積が大きくなるよって歯の表面の汚れや歯垢を落としやすくなっています。
先端分岐加工
先端部が3本の超極細毛に分岐している珍しい加工をされた毛先です。ソフトな使用感と弾力となっており、歯茎を傷つけることなく、歯周ポケットなどの歯垢を落とすことができます。
毛先の硬さの種類
毛先の硬さは基本的にどのメーカーもやわらかめ・ふつう・かために分かれています。これはメーカーによって独自で決めているものではなく、JIS規格の「座屈試験」によって区分されています。
この試験はサンプルの歯ブラシの毛の長さを一律7mmにカットして、荷重を加えた場合の毛の広がり具合を既定の範囲のどこに属しているのかで決めるものとなっています。
そのため厳しい審査の元、規定数値の幅に属した表記となるので3種類しかありません。
やわらかめの歯ブラシ
歯肉炎などの歯周病の方や、歯茎が弱い方におすすめの硬さになります。このような方は僅かな毛先の刺激でも出血してしまうことがあります。あまり強く磨くと歯茎を傷めてしまい炎症が治まらなくなってしまうので、出血が落ち着くまではやわらかめを使うといいです。
ふつうの歯ブラシ
一般的な力で磨く方にはこちらがおすすめです。力強く磨かなければ歯茎を傷つけることもありません。正しい磨き方を心がけている方はふつうの硬さのものから使ってみるといいです。
かための歯ブラシ
しつこいネバつきや歯垢を落とすのであればかための弾力がある毛先がおすすめです。どちらかと言えば正しい磨き方が身についている上級者やプロ仕様の硬さと思っていただけるといいです。
そのため力強く磨いてしまう人は歯茎を傷つける可能性があるので避けた方が良い硬さになります。