自分で改善!歯周ポケットの原因と対策&予防方法
口のトラブルの原因としてよく挙がるのが歯垢や歯石ですが、これが出来てしまう場所は歯間だけでなく歯周ポケットも含まれます。TVのCMや医療系の情報番組でも時々耳にしますが、歯周ポケットは誰もが持っている汚れや細菌の巣窟です。
あまり気にして見えない方が多いようですが、ケアしていかないとどんどん大きくなり、重大な病気に繋がってくることもあるのです。そこでこちらでは自分でもできる歯周ポケットの原因と対策、そして予防方法をご紹介します。
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歯周ポケットとは?
そもそも歯周ポケットとは何でしょうか、そこからご紹介していきたいと思います。
歯周ポケットとは、歯と歯茎の境目の溝のことを言います。歯は歯茎とぴったりつながっているかのように見えますが、実は歯と歯茎の間にはわずかな隙間があります。
2mm以下の浅い溝なら問題ありませんが、深い溝になると口内の汚れが溜まりやすくなります。汚れが入り込むことから「ポケット」と形容され、この歯周ポケットという名称がつけらえれました。
どの歯も必ず一周取り巻かれている溝ですが、この深さは歯茎の状態によって変わります。健康な歯茎であれば1~2mm、中程度の歯周炎があると3~5mm、歯周病が進行した場合は6mm以上になることがあります。
歯周ポケット内に溜まった口内の汚れ、特にプラークの中では細菌が繁殖しやすく、プラークは石灰化し硬くて歯ブラシではとれない歯石となり、歯茎の炎症を進め、歯を支える土台である歯槽骨を溶かします。これが歯周病(歯槽膿漏)です。
つまり歯周ポケットが深いと、歯を支えているはずの歯槽骨を失うことに繋がるのです。人の歯の根は長いものでも10数mmですから、6mm以上溝に囲まれているということは非常に不安定な状態で歯は立っている状態になるのです。
歯周ポケットの測定と評価
そうなると自分の歯周ポケットの深さが気にあるところです。歯茎に隠れて直接見えない場所なので、鏡で見ただけではとても分かりません。そこで歯科医院ではポケット深針という歯茎の溝をはかる物差しで深さを測定します。
ポケットの深さは1本の歯でも一定ではないので、歯を一周測ります。通常、1本の歯について6つの場所の測定値を記録しておきます。これを6点法と言います。
主に歯周病検査の時に測ってもらうもので、ブラッシング方法を変えたり、歯石を取ることによってどれくらい改善したかを評価したり、定期検診時に歯周ポケットが深くなっていないかを確認します。
また、歯周ポケット内からの出血があれば現在進行形、なければ歯周ポケットの進行がなく安定している状態と評価しています。
この結果で自分で清掃できる歯周ポケットなのかどうかが分かります。1~2mmまでの歯周ポケットなら歯ブラシやデンタルフロス等で清掃することが可能です。これによって歯の根元のプラークを残さないように丁寧に磨くことで、歯周ポケットを広げないようにすることもかのうです。
歯周ポケットが3mm以上の場合は歯ブラシやデンタルフロスは届きません。そのため歯医者で超音波の器具を使って清掃する必要があります。3~5mmの方は3カ月に1回、5mm異常の方は1カ月に1回行い、これ以上進行しないようにする必要があります。
歯周ポケットの危険性
このように歯周ポケットは人によってその深さは違うことが分かりますが、誰しもが持っているものです。しかしこれが広がることでどのような危険があるのでしょうか?
先述した中でも歯周ポケットが広がることによって、酷い場合には歯槽骨を失うことにもなることは説明させていただきましたが、それ以外にも様々な悪影響があるのです。こちらではそれをまとめていきたいと思います。
- 歯周ポケットの中に細菌が溜まる
- 歯ぐきが腫れる
- 歯周ポケットの周りの骨が溶ける
- 口臭が強くなる
- 知覚過敏になる
以上のような危険性が挙げられます。特に上記3つは関連性が高く、先述した通り歯周病へと進行していくため、危険度は高いです。
歯周ポケットの中に細菌が溜まる
歯周ポケットは袋状の形をしており、歯ブラシやデンタルフロスではその中の汚れをかき出すことは非常に難しいです。特に先ほどの3mm以上の歯周ポケットになると自力での清掃はできません。
そうなると歯周ポケットが細菌の温床となってしまい、それによってさらに歯周ポケットは深くなるという悪循環を生んでしまいます。
歯ぐきが腫れる
上記の細菌の温床となった歯周ポケットから歯茎の中へと細菌の侵入を許すこととなり、白血球やマクロファージなどの免疫が戦うこととなります。疲労感や風邪に罹り、体の免疫力が落ちてくると歯茎が腫れて痛みを伴うことがあります。
歯周ポケットの周りの骨が溶ける
こちらは先ほど触れていますが、歯槽骨が溶けて失われてしまうことがあります。これは歯周ポケットが広がることにより細菌が増え、これに骨が感染しないように逃げるため、自ら溶けていくのです。
その結果、歯茎が下がったり歯が揺れたりして、最終的には歯の周りの骨が全部溶けてしまい歯が抜けることとなります。これを防ぐため、歯医者では溶けて修復不可能と判断された場合でも、結局は抜歯という手段をとることになるため、いずれにし歯を失うことになります。
口臭が強くなる
歯周ポケットの中には細菌だけでなく、それによってできるプラークや汚れ、膿などが溜まり続けているため腐敗臭のような口臭が強くなっていきます。口臭の原因はこれだけではありませんが、歯周ポケットが深いほど口臭の原因物質が溜まりやすくなるので、注意が必要です。
知覚過敏になる
歯と歯茎の間に隙間ができることによって、歯根の象牙質に冷たいものや熱いものが入り込み知覚過敏を引き起こします。歯周ポケットが深くなるほど、この刺激は強いものと感じられるので、非常に痛みを感じやすくなります。
歯周ポケットの原因と対策
さて、歯周ポケットはその隙間に入り込んだプラークによって広がることが分かりましたが、実はそれ以外にも原因はあります。そして、それによって対策も変わってきます。ここからはその原因と対策についても触れてきましょう。
- プラーク
- 歯ぎしり
- 親知らず
- 歯の治療後のかぶせ物
- 喫煙
このプラークを筆頭とした5つの原因が挙げられます。1つずつ原因と対策について見ていきましょう。
プラーク(歯垢)
やはり一番の原因はプラークを原因とする歯茎の腫れです。これによって歯周ぽけけっとが広がりやすくなります。先述した通り、プラークによって深くなった歯周ポケットの中にはさらにプラークが溜まり、その除去は難しくなっていきます。
そのためこの予防には初期の段階でプラークコントロールをすることで、食い止めるのが最も効果的な方法となります。正しい歯磨き、そしてデンタルフロスやマウスウォッシュを使用してのプラーク除去、定期的な歯科検診と自分で取れない歯石除去などが必須となります。
歯ぎしり
歯ぎしりが強い方は歯を揺さぶってしまうため、歯と歯茎に隙間が出来て細菌が侵入し、歯周ポケットを作ってしまいます。また歯に亀裂が入ると、そこからも歯周ポケットが広がります。
歯ぎしりの原因自体は明確な物が解明されていないため、歯医者で相談の上、マウスピースなどで保護するのが現状の対策となります。
親知らず
親知らずは横や斜めに生えることが多く、親知らずの手前の歯に深い歯周ポケットを作ります。20歳前後で抜歯をすれば歯が作られ歯周ポケットが残ることはありませんが、20台後半になると抜歯をしても歯周ポケットが残ってしまい、その後の管理が必要となります。
そのため現在の年齢にもよりますが、いずれにしても親知らずを残しておいていいことはないので、こちらも歯医者で相談の上、手術によって抜歯することが一番の対策になります。その後の対処についてはプロの指示にしたがって行動しましょう。
歯の治療後のかぶせ物
虫歯などの治療をした後のかぶせ物が合っていないと、その隙間が細菌の住みかとなったり、噛み合わせによってそこだけ強く当たると、歯が揺さぶられて歯茎に隙間ができてしまったりすることで、歯周ポケットが出来てしまいます。
しっかりとした治療がなされたかぶせ物を入れると歯周ポケットができにくくなります。そのため、歯医者での治療に不安がある場合は、信用に足る歯科医を探すことも1つの方法となります。妄信的にならず、腕のいい歯科医の元で治療を受けらえれるようにしましょう。
喫煙
喫煙は歯茎の毛細血管を収縮してしまうため、免疫力が低下し細菌の活動を手助けするため、歯周ポケットが深くなります。
対策としては言わずもがな、喫煙を止めることです。世の中もどんどん喫煙を排斥する動きとなっています。歯茎だけでなく、体にとっても喫煙を止めることで良いことの方が多いので、これを期に禁煙することをおすすめします。
歯周ポケットの治療方法
歯周ポケットの治療・改善方法はその深さによって行うことが違います。基本的には下がってしまった骨の高さに、歯茎を引き締めて高さを合わせる必要がありますが、それは歯周ポケットの深さ次第で方法も変わってしまうということです。
それではそれぞれの深さについて簡単にですが、その方法を見ていきたいと思います。
【1~2mm】浅い歯周ポケットの治療
これくらい浅いと、基本的な治療で十分に歯周ポケットの状態を改善できます。主には以下の3つになります。
- 歯茎を引き締める
- クリーニングをする
- 歯石を取る
まずは歯の根元のプラークを残さないように歯ブラシやデンタルフロスなどを使って歯の根元を丁寧に磨きます。これを2~3週間続けることで歯茎が腫れて隙間が出来たいた歯茎が引き締まります。これによって細菌が歯周ポケットに入り込みにくくなっていきます。
またこびり付いてしまった汚れは歯ブラシなどで落ちにくくなっており、歯石にいたっては自力で取ることはほとんどできません。この汚れや歯石の中で細菌が繁殖しやすくなるため、歯医者で機械的にクリーニングや歯石除去をする必要があります。
【3~5mm】中程度な歯周ポケットの治療
この深さになると、歯周ポケット内にこびり付いた歯石を取り除くのが治療・改善方法となります。歯石は血液と細菌が固まったもので、歯と強固についているので、歯医者で3~6回に分けて取っていきます。
歯根の形は複雑で、歯石を取った後、根の面を磨いて再度歯石が付きにくくなるようにしていきます。
【6~8mm】重度な歯周ポケットの治療
6~8mm程度にもなると、歯周ポケットはかなり深くなり、入り口から歯石を取ることができません。目て見て確実に行うため外科的な方法を取ります。
麻酔をした上で切開し、歯茎を開いて中に隠れている歯石を取ります。また骨の形を整えたり、人口の歯を入れてポケットを浅くしたりする方法を行います。
【9mm以上】根まで到達した歯周ポケットの治療
歯の長さは10mm程度となります。そうなると9mm以上ある歯周ポケットは根の先まで到達しているため、残念ながら治療・改善する方法はありません。歯の全てを抜歯するか、一部の根を抜歯するかの対処をします。
いずれにしても抜歯をしないと他の歯に悪影響を及ぼしてしまうため、それを止めるためにも根源となる歯をこのような処置をすることになります。抜歯をしたくないのであれば、早い段階で治療をすることが大切です。
自分で出来る!歯周ポケットの予防方法
歯周ポケットの予防方法は、これまでのことを踏まえると2つあります。
- 正しい歯磨きによるプラークの除去
- 定期的な歯科検診の受診
2つ目は直接的な方法ではないですが、歯科検診の受診は自身の意思に委ねられるため、自分で出来る歯周ポケットを広げない予防方法となります。
正しい歯磨きによるプラークの除去
こちらも先述しましたが、歯周ポケットの主たる原因はプラークによるものです。そのためまずは日頃から自分でしっかりと歯磨きをしプラークを除去することが大切です。もちろん歯ブラシだけでなく、デンタルフロスやマウスウォッシュを使っての補助的な除去も有効です。
歯ブラシの仕方も正しい方法や効果的な方法を行っていない方もみえます。改めて歯磨きの仕方を見直すことも大切でしょう。こちらの関連ページで正しい方法をご紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
定期的な歯科検診の受診
先ほど触れましたが、こちらは直接的に自分で出来る方法ではありません。しかし歯科検診は今や歯を守る重要な手段の1つであり、定期的な診断や治療が歯や歯茎を守ることになります。
上述のプラークの除去も100%出来るわけではなく、手動では限界であるところもあります。そのような部分はプロである歯科助士に行ってもらったり、歯周ポケットの状態を見ていもらうことで進行していないかの確認もできます。
検診に行くかどうかは結局のところ強制ではなく、自分で予約を取って行くことになるため、自分で出来る方法の1つとして挙がるのではないでしょうか。