口臭予防!舌が白くなる舌苔の原因と上手な取り方
歯磨きをした後の口の中を鏡で映した時など、舌が白くなっていることはありませんか?これは舌苔と呼ばれ、病気ではないのですが、これがあることで口臭が発生してしまうことがあります。
見た目としてもあまりいいものではなく、口内を清潔に保つ意味でも取り除きたいものです。しかし適当に歯ブラシなどで擦ればいいというわけでもないのです。こちらでは舌が白くなる舌苔の原因と上手な取り方についてご紹介してきます。
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舌苔とは?
冒頭でも触れましたが、まずは舌苔についてご説明してきます。舌苔とは舌の表面の角質(糸状乳頭)が伸びて硬くなった隙間に、細菌や汚れが蓄積して、舌に白い苔が生えたように見えるもののことを言います。
眼で見れば細かい角質は分かりませんが、その隙間は深く、食事の後は多くの汚れが蓄積しています。当然食べカスも残っているのですが、こちらが曲者です。食べ物の中にはタンパク質やアミノ酸といった成分が含まれているものがあります。
この成分は嫌気性菌が好み、分解していきます。その際、硫化水素やメチルメルカプタンなどVSC(揮発性硫黄化合物: Volatile Sulfur Compounds)が生成され、それが唾液と混ざることで口臭が酷くなるとされています。
もちろんこれは口臭の原因の1つでしかありませんが、最も起こりやすい原因の1つでもあります。またタンパク質などは食べ物だけでなく、口内の上皮細胞や細菌の死骸などもそれに当たります。そのため、角質にはこのような物質が蓄積し、舌苔ができるのです。
舌苔の色
舌苔は基本的に白が多いですが、それ以外にも存在し、全部で3種類に分けられます。それが白苔、黒苔、黄苔であり、そのまま舌苔の色で分けられます。この色で舌や体の状況が分かることがあります。
白苔
よくできる舌苔の色です。暴飲暴食や睡眠不足で簡単に出来てしまいます。疲れなどで免疫能力が低下していることによってもできるので休養し体力をつけることで改善できます。他にも歯肉炎や虫歯で細菌が増えても舌が白くなることがあります。
黒苔
この色は抗生物質の長期間服用や抵抗力低下によるカンジダ菌の増殖、タバコのニコチンによって起こることがあります。カンジダ菌はカビの一種であり、嫌気性菌同様に硫黄化合物を生成するので口臭の原因にもなります。
また黒く見えるのはこの硫黄化合物とけ血液中のヘモグロビンが結び付くことが原因だと考えられています。合併症として、ガンジダ症を発症することもあるので注意が必要です。
黄苔
黄苔になるのは口内に大量の食べカスや細菌が発生していることが原因であることがあります。こうなると口内環境は悪くなり、免疫力や殺菌能力が著しく低下してしまいます。
歯ブラシなどの口内洗浄の不足は元より、タバコや口呼吸、ストレスなど口内が乾燥することによっても起こります。
また病気のサインである可能性もあり、ウイルス性感冒や急性扁桃腺炎、鼻炎、急性気管支炎などの風邪の前触れであったり、脳梗塞や胃炎、脂肪肝などを発症している可能性もあります。
舌苔の厚さ
また舌苔の状態を苔質といい、その厚さや粘稠度苔、剥落の有無などで診ることができます。この厚さによって色が変わってくることもあります。
苔の厚さが薄く、舌体が透けて見えることができるものを「薄苔」、苔が厚く、舌体が透けていないものを「厚苔」、苔が油を帯びたようにべったりしているものを「膩苔(じたい)」、苔の剥落が部分的で、世界地図のように見えるものを「地図苔」と言います。
ちなみに舌体とは舌全体のことを指し、前方約2/3を舌体部その先端を舌尖、後方1/3を舌根部と言います。舌体も舌苔もどちらも「ぜったい」と読みますが、誤字ではありませんのでを気をつけください。
舌苔が出来る原因
ここまでのご紹介でも出てきましたが、舌苔ができる原因はいくつかあります。
- 細菌
- 剥がれた上皮のカス
- 食べカス
- 口呼吸
- 唾液の分泌量の減少
- 舌の運動機能の低下
- 舌位が低い
- 抗生物質
以上の原因が考えられます。それではそれぞれの原因について詳しく見ていきつつ対策も講じていきましょう。
細菌
口内の細菌が舌の溝に入り込んで溜り、舌苔として白く見えます。舌苔の色の原因となるものもおり、色素を作り出す細菌が原因で黒苔や黄苔、あるいは灰色や茶色に変化することもあります。
対策としてはこの細菌の活動を抑制することになります。口内環境の改善のためにも歯磨きやマウスウォッシュでの洗浄を徹底して除菌を行うことで防ぐことができます。
剥がれた上皮のカス
舌体の上皮や口内の上皮が剥がれ、溜まったものが舌苔として白く見えます。こちらも取り除かなければ蓄積し、分厚い舌苔となってしまうので早めに除去する必要があります。歯磨きで口内のカスを取り除き、歯ブラシを使って優しく舌の上の舌苔を落としてください。
歯ブラシでなくても舌ブラシを持っているのであれば、そちらを使った方がより効率よく上皮のカスを除去することができます。
食べカス
こちらも上皮同様に口内の特に舌体の角質の間に蓄積することで舌苔となります。食事後には必ず歯磨きやマウスウォッシュで口内を洗浄してあげることで防げます。また舌体のブラッシングも同様に有効です。強くこする必要はないので、優しくブラッシングして舌苔を落とすことで改善します。
口呼吸
口呼吸をする方は舌苔ができやすいです。汚れは乾燥するとこびり付き取れにくくなってしまいます。そのため先述の食べカスや上皮カスの汚れが角質の隙間に入り、乾燥によってこびり付いてしまいます。
これを改善するためには口呼吸から鼻呼吸に変える必要があります。大抵の方は鼻呼吸だと思いますが、口呼吸がデフォルトの方は治すのが少し大変です。
鼻呼吸を意識することで口呼吸から変えることができる方もみえますが、それが難しい場合は専用のグッズもありますので、そちらを使用して鼻呼吸になるように練習してみてください。
唾液の分泌量の減少
ストレスや薬、病気など要因は様々ですが、唾液の分泌量が低下すると舌苔ができます。唾液には自浄作用があり、口内の殺菌や抗菌作用、緩衝作用も相まって口内を綺麗にする効果があります。
唾液の分泌量が減るとその効果が薄まってしまい、食べカスや細菌が角質の間に蓄積舌苔が出来てしまいます。また口内の乾燥も起こるので、より多くの舌苔ができやすくなってしまうのです。
改善方法としては口を良く動かすなどして唾液腺を刺激し唾液の分泌量を上げることです。何もないのに口を動かすのが苦手なのであればガムなどを噛んでもいいです。また梅干しやレモンなど酸味が強いものを見ると、反射的に唾液が分泌されるので、それを利用してもいいでしょう。
舌の運動機能の低下
舌の運動機能が低下すると、唾液の分泌量が少なくなり舌苔ができます。原因としては上述したものとほとんど変わりませんが、これは夜寝ている時に起こりやすく、高齢や病気になって舌の機能が低下する事によっても起こります。
起床した後、口臭が酷かったり舌苔がよくできているのはこのせいです。対策としては寝ている間のものはどうしようもないですが、高齢による機能の低下を防ぐためにも舌を良く動かすことです。
特に活舌が悪い方は注意です。活舌の改善のため発音の練習などをすると相乗効果で舌の運動機能を守ることができます。普段からあまり会話などしないと少しずつ機能は低下していくので注意です。
病気が原因の舌の運動機能低下は、早めに治療することをおすすめします。
舌位が低い
舌の正しい位置は上顎に舌が付いている状態です。本来であれば舌苔ができる位置は常に上顎とすれて、汚れが落とされています。
このような状態を低位舌と言いますが、これが先述の口呼吸になってしまう要因の1つでもあります。これによって歯並びが悪くなることもあります。
対策としては、口腔筋機能療法(MFT)やガムトレーニングで舌の筋肉を強化し、本来の正しい位置に舌がくるようにすることで改善できます。またこの方法は上述の舌の運動機能改善にも役立ちます。
抗生物質
抗生物質やステロイド剤を長期間服用すると、口内に住んでいる細菌の種類が変わり、黒苔の黒毛舌が認められることがあります。先述しましたが、これはカビ菌の一種であるガンジダ菌が増えることが原因となります。
対策としては、抗生物質やステロイド剤を止めるわけにはいかないので、口内の洗浄と舌体のブラッシングを徹底して行うほかありません。特に舌苔の取り方は後述するので、そちらを読んでしっかりと除去することで対処できます。
ただ根本的な解決にはならないので、抗生物質やステロイド剤を飲まなければいけない状態を1日でも早く終えられるよう、快復に努めていただくのが一番です。
舌苔の取り方
舌苔は舌体をブラッシングすることで落とすことができることは先述させていただきましたが、専用のアイテムとして舌ブラシ(舌クリーナー)があります。こちらでは舌ブラシを使った舌苔の取り方をご紹介してきます。
詳しい使い方は関連ページの方で説明させていただいているので、そちらを参考にしてください。
- 舌をできるだけ前に突き出す
- 舌表面にブラシを当てる
- ブラシをゆっくりと前に引き出す
- 1回動かすごとにブラシを洗う
- ブラシを洗浄にして風通しの良いところに保管
少々面倒ですが、ブラッシングするたびに洗うことで毛先についた舌苔を洗い流し、きれいな状態で再び舌苔を取り除くことができます。舌ブラシ自体横に広いので広範囲を一気にブラッシングできるのが特徴です。
使用後はきれいに洗って、乾燥させることで毛先における細菌の増殖などを抑え、きれいな状態で次回使うことができます。
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舌ブラシ(舌クリーナー)使用時の注意点
注意事項としては、歯磨きと違い舌磨きは1日に1回起床時だけで大丈夫であるということです。それ以上行うと舌の粘膜を傷つける危険性があります。
また既に舌に傷がある場合は、舌磨きは控えてください。また治りかけの状態も避けてください。舌ブラシによって傷つけてしまう可能性があります。
舌苔の予防方法
舌苔の取り除き方や改善方法は分かりましたが、予防するためにはどうしたらいいのか、と思われている方もみえると思います。そこでここからは舌苔の予防法をいくつかご紹介していきます。
- よく噛む
- よく会話する
- しっかり歯磨きをする
- 暴飲暴食・喫煙・飲酒を控える
- 水を飲む
- 乳酸菌を摂取する
- リラックスする
- 体をよく動かす
- 鼻呼吸をする
- いびきの改善
それぞれの理由と効果をそれぞれ見ていきましょう。
よく噛む
咀嚼回数を増やすことで、顎と舌を動かすことにより唾液腺が刺激さえ、唾液の分泌量が増えます。唾液を分泌するのは口内洗浄もでき、口内の乾燥を防ぐことができるので舌苔ができるのを防ぐことができます。
よく会話する
会話をするためには舌や顎を動かすことになります。よく噛むことと同様に、これによって唾液が多く分泌されるようになります。また自律神経も刺激されるので、より唾液が出やすくなる効果もあり、舌苔が出来にくい口内環境を作り出します。
しっかり歯磨きをする
歯磨きの徹底によって不清潔な口内を改善できます。そうすることで、舌苔の元である食べカスや細菌を除去することができます。起床時や就寝前など丁寧に磨くことでその効果は高くなり、舌苔の予防ができるわけです。
暴飲暴食・喫煙・飲酒を控える
暴飲暴食は胃腸を壊し免疫能力を低下させます。また喫煙は毛細血管を萎縮させるので歯周病になりやすく、飲酒はアルコールによって舌を乾燥させるため、舌苔や口臭ができやすい原因となります。
健康を意識した生活を送ることで舌の環境を改善することにもつながるので、結果として舌苔が出来にく状態を作れるのです。
水をよく飲む
唾液の99.5%は水分であり、唾液が少ない人の多くは水分不足によるものである可能性があります。そのため水を飲むことで唾液の生成を助け、口内の乾燥を防ぐことができます。
口内が乾燥すると細菌が増えやすく、また舌苔の原因物質も固まりやすくなるので、こまめに水分補給をし乾燥の防止と、細菌を洗い流すことで舌苔を防止することができます。
乳酸菌を摂取する
暴飲暴食の部分でも触れましたが、胃腸が弱くなることによって免疫能力が低下し、細菌の活動が活発化することで舌苔ができやすくなります。それを抑えるためにも乳酸菌を摂って胃腸の環境を改善し、免疫能力を維持することが舌苔予防にも繋がるのです。
リラックスする
ストレスは舌苔だけでなく体に様々な影響を及ぼします。口内についてはストレスによって自律神経に悪影響を及ぼし、唾液の分泌量が低下して口内が乾燥します。こうなると舌苔はできやすくなります。リラックスすることで自律神経を正常に戻し、唾液を分泌させれば舌苔もできにくくなるというわけです。
体をよく動かす
これもリラックスと同様で、ストレスを軽減させ自律神経を整えます。また体の緊張もほぐれるので、体の機能が正常になり舌苔もできにくくなります。さらに舌や口のトレーニングを取り入れることで、効果的に予防することもできます。
鼻呼吸をする
これは口呼吸のところでもご説明しましたが、鼻呼吸に変えることで口内の乾燥を防ぎ舌苔が出来にくい状態を作ることができます。毎日意識的に鼻呼吸をすることで改善できます。ただ花粉症や鼻炎などで鼻呼吸ができない場合は、耳鼻科などで診察を受けた上で、早めに治療することをおすすめします。
いびきの改善
いびきが出るということは睡眠時に口呼吸をしている可能性があります。いびきは無意識のうちに起こってしまうので、いびき予防テープなどを使って改善することができます。こうすることで睡眠時の口内の乾燥を防ぎ、舌苔の予防が出来ます。