自分で出来る歯石除去!危険性や上手な方法を徹底解説
歯磨きを怠ると歯の表面にはっきりと分かるようになる歯垢や歯石。歯垢はある程度なら落とすことができますが、完全には落とすことができません。さらに歯石は普通は自分で除去することが出来ません。
この歯垢や歯石は放置することで虫歯や歯周病、口臭などの原因になります。出来る事ならどちらも落としてきれいな歯を保ちたいものです。そこでこちらでは自分で出来る歯石除去の上手な方法や危険性についてご紹介していきます。
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歯垢と歯石の違い
冒頭でも出しましたが、歯垢や歯石は虫歯や歯周病、口臭の原因となります。そのため2つはほとんど同様のものと思われがちですが、この歯垢と歯石には違いがあります。
皆様はこの違いを明確に説明できるでしょうか?そちらを知らない方の為にも、まずは歯垢と歯石の違いからご説明していきましょう。
歯垢(プラーク)とは?
歯垢とは歯の表面についている細菌の塊のことを言います。プラークあるいはデンタルプラークとも呼ばれます。一般的には歯牙表面に付着した黄白色を帯びた粘着性の物体のことを指します。
厳密には歯牙との接触面は獲得被膜ぺクリルと呼ばれる被膜で覆われており、その上に形成されたものになります。食後8時間で細菌によって歯垢は作られ、付着力が強くなります。
そのため歯に強く付着しているので、口をゆすいだだけれは落ちず、歯ブラシなどで毎日こすり落とす必要があります。
しかし日常的な口内洗浄でも全てを除去することは不可能です。特に歯間や歯周ポケットなどの除去しにくい場所には歯垢が蓄積しやすくなっています。
さらに歯を磨かなければ歯垢はどんどん増え、乳白色から黄色くなっていき、やがて発酵して口臭の原因となります。近年は、バイオフィルムとして認識されるようになりました。
歯石(ターター)とは?
歯石は歯垢が溜まると唾液の成分によって歯石になります。唾液には再石化作用があり、これは歯を再石灰化させ再生する作用があります。そのため多くのリンやカルシウムが唾液の中に溶けています。
歯垢が48時間程度歯に付着したままになっていると、唾液の成分と結びつき石灰化して歯石になります。また歯茎に出血がある方は歯垢と血液が結び付いて歯石となってしまいます。特に歯茎の中で出来ている歯石は歯周病の原因となります。
歯垢と違い、歯石になってしまうと歯への付着強度が高くなり、歯科医院などでないと除去することは難しいです。
歯石を放置する危険性
さて、歯石は歯垢を除去しないことによって作られ、歯垢以上に除去しにくいことが分かりました。自分で取れないとなると歯医者で取ってもらうしかないのですが、そうなるとついつい行くのが面倒で、歯石を放置してしまうことがあります。
しかし歯石を放置することは危険です。放置することによって以下のようなことが起こります。
- 出血や口臭の原因になる
- 歯周病(歯槽膿漏)の原因になる
どれも歯や歯茎に起こる危険な症状であるのはご存知だと思います。それぞれ少し詳しく見ていきましょう。
出血や口臭の原因になる
歯石を放置していると、汚れが溜まり歯茎の炎症を引き起こします。その炎症部分から出血することがあります。出血だけでも危険ですが、この血液が唾液と混ざると異臭を放つようになり、口臭の原因となります。
歯周病の原因になる
先述しましたが歯茎に出来た歯石は特に歯周病(歯槽膿漏)の原因となります。歯石は歯垢が石灰化したものであり、歯垢は細菌の塊です。つまりその中は細菌の温床となっています。この中には歯周病菌も含まれ、細菌の活動が活発になっています。
歯周ポケットや上記の炎症を起こした部分に歯周病菌が入り込むことで、歯周病となることや、歯周病を悪化させる可能性もあります。歯石があるだけで、歯茎は非常に危険な状態になるのです。
この炎症は歯根膜でも起こります。そうなると歯槽骨まで炎症が及んだり、歯根膜が破壊され歯と骨を繋ぐのがなくなり、歯がグラついてきます。
その土台の骨である歯槽骨まで破壊され始めると、さらに歯はぐらつき、歯根を覆っていた歯茎が下がって伸びたようになります。
これが酷くなっていくと抜歯をしなければいけなくなります。歯周病(歯槽膿漏)については関連ページで詳しくご説明していますので、そちらをご覧ください。
自分で行う歯石除去の効果的な方法
このように歯石は除去しないと、特に歯茎へのダメージが深刻なものとなります。そのため歯医者へ行き、除去することが推奨されるのです。
しかし先述通り、なかなか足を運ぶ時間がないと面倒になり、放置してしまいがちです。かと言って普通に磨くだけでは歯石は落とせません。
ただ、あくまでも普通の方法では、ということです。ここからは自分で行う歯石除去の効果的な方法をご紹介していきます。まずは方法をまとめておきますので、そちらを元に詳しく説明させていただきます。
- 2週間、歯ブラシやデンタルフロスで歯を丁寧に磨く
- 歯石除去用のスケーラーを準備する
- 下の前歯の前面から歯石を取る
- 下の前歯の裏面から歯石を取る
このような手順で行うと効果的です。道具としては歯ブラシとデンタルフロス、スケーラーを準備しておきましょう。それではそれぞれの手順を詳しく見ていきます。
2週間、歯ブラシやデンタルフロスで歯を丁寧に磨く
まずは歯茎が腫れていたり、出血のある状態では歯石除去を行うと歯茎を傷つける恐れがあります。様々な原因が考えられますが、健康な歯茎でそのようなことが起こっている場合は、歯磨きの方法が間違っている可能性があります。
そのため歯医者でも歯茎の腫れがある場合は、まず歯磨き指導を行ってから歯石除去を行います。歯茎が貼れた状態では少し触れただけで出血し、歯石がきれいに取れません。
そのため最低でも2週間はデンタルフロスも併せて歯を磨き、歯茎を引き締めてから行う必要があります。またこれを行うことで、歯石かしていない歯垢を落とし、これ以上歯石が増えるのを防ぐこともできます。
もちろん完全に歯垢を落とすことはできないので、100%歯石が増えないわけではありませんが、デンタルフロスまで使うと全体の85%の歯垢は落とせると言われています。それだけ除去できていれば、歯石になってしまう分も減らせるので、負担も軽減できます。
歯石除去用のスケーラーを準備する
歯石除去にはスケーラーという歯石を取るための道具が必要です。鎌形スケーラーと呼ばれる道具が通販で購入できるので、そちらを準備して下さい。
本来であれば歯医者ではスケーラーを滅菌するのですが、家庭ではできないため、アルコールや赤ちゃん用の消毒液、煮沸などで消毒してから使ってください。
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下の前歯の前面から歯石を取る
スケーラーは非常に鋭く扱い方を間違えると歯や歯茎を傷めるため、取り扱いには十分注意してください。
まずは鏡を見ながら下の前歯の歯石を取ります。親指、人差し指、中指の3本の指でスケーラーを持ち、薬指は歯に固定します。
唇がある前面側から歯の根元に沿わせ、歯茎の上約1mm程度を動かしながら歯石を取ります。動かしすぎたり、手が滑ったりするとスケーラーが歯茎や頬を傷つけ出血が多くなるので慎重に行ってください。
下の前歯の裏面から歯石を取る
前面からの歯石取りが終わったら、今度は舌がある裏面の歯石取りです。こちらの方が多くの歯石が付いています。残念ながら鏡で内部全ては見えないので、鏡の前で口を大きく開け、出来るだけ歯石を見えるようにしながら、前面と同じように歯茎の上1mm程度の所を動かしてください。
歯石を取る上での注意
歯石を取った後は消毒をしないでください。現在の医療では傷ついた体の部分は無闇に消毒せず、水洗いだけ行う方が良いと言われています。歯石を取った後は水でよく口をすすいでください。
また歯石除去は一度で行うのではなく、歯石を取りをを行ったら後1~2週間程度で再度しっかりと歯を磨いてから行ってください。そうすると前回取れなかった歯石も取りやすくなります。歯石除去と歯磨きを交互に繰り返して行ってください。
歯医者で行う歯石除去のメリット
上記のように自分で歯石を取るのはかなり慎重に行う必要があり、またこれでは歯茎の歯石は取れないことが分かります。やはり素人の手では限界があるんですね。そうなると歯医者へ行って歯石を取るのが一番となります。
足を運ぶのは面倒かもしれませんが、歯医者で歯石除去をすることによってメリットもあります。それが以下の3つになります。
- 自分では取れない歯茎の歯石まで取り除ける
- 歯周病の状態を検査できる
- 歯の磨き方を確認できる
- 歯茎が改善した状態を検査して確認できる
歯医者で歯石を取った場合、もちろん費用がかかります。保険診療3割負担の方は初診時3,000円程度、再診時であれば1,000~2,000円程度となっており、この値段で歯石除去と上記のような検査などもできるので、お得と言えばお得です。
ただ歯茎の状態や歯周病の進行度合、歯石の量などによって異なるので、あくまでも目安として下さい。
自分では取れない歯茎の歯石まで取り除ける
まず先述の自分での歯石取りでは歯茎の歯石は取れません。歯医者では超音波スケーラーによって歯石を砕きながら除去するので、歯茎の歯石も取り除けます。やはりプロということもあり、きれいに歯石を取り除いてくれるので、施術料を払うだけのメリットはあります。
歯周病の状態を検査できる
歯石を取るとなれば、歯茎や歯を支えている骨の状態を確認します。歯石によって歯周病が進行している場合、不用意に歯石を取ると歯茎の腫れや痛み、急激な歯茎の効果の原因になるので、歯医者では必ず検査をします。
自分の歯茎の状況や歯周病の進行具合も分かるので、歯石除去と同時に検査を行えるというのはメリットです。
歯の磨き方を確認できる
歯垢が付いていたり、歯茎が貼れている状態で歯石を取ると多くの出血が起こる可能性があります。これにより出血が起こると歯石を取りにくくなってしまいます。また新しい歯石もできやすくなってしまいます。
そのため歯医者では歯磨きの仕方の確認と指導が行われます。面倒だと思われるかもしれませんが、この機会に正しい歯磨きの方法を確認し、口内洗浄をしっかりできるようにするといいです。
年齢を重ねると、なかなか正しい方法を身につける機会を失っていきます。歯石だけでなく、虫歯や歯周病などで歯医者のお世話にならないためにも正しい歯磨きの方法を教わるのはメリットになります。
歯茎が改善した状態を検査して確認できる
歯石を取った後、歯周病の状態を再度検査し、歯茎の出血や腫れ、歯周ポケットの深さを確認します。歯周ポケットが深い場合は通常の歯石除去では歯石が取れないため、歯肉剥離掻爬術などの外科的歯石除去を行うこともあります。
現状を把握するためにも、歯茎の状態を検査できるのはメリットです。もし病気が見つかるようなことがあれば、早期に治療する必要があるので検査することで対処もできますし、この検査で問題がなければ、今後はその状態を維持できるように丁寧に歯や歯茎の洗浄をしていけばいいということになります。